基本は教科書と高校の参考書

昨日の記事で、A君が教科書を当たっているか確認するのを怠ったのが敗因だったと書きました。こういう場合は教科書から読み直すだろうと、思い込んでいたのでした。
M2のみなさんは進学にしろ就職にしろ、4月からはこれまでと異なる課題に取り組むことになります。就職直後だけでなく、配置替え・移動でまたイチからということもあるでしょう。そんな時はまず、当該分野の基本の教科書から勉強してください。
私が4年前に前任者から研究室を引き継いだ時、1名のD3と4名のM2が、イオンクロで分析した河川水質を中心に研究していました。私はそれまで、沿岸域の底生生態系を中心にした生元素循環を研究してきました。赴任した私がまずやったことは、主要無機イオンについて陸水学ではどのように考えられてきたのか、そして河川水の器である河川地形はどうかを教科書で復習することでした。山本荘毅著「陸水学」を20年ぶりに再読、そして地形学がご専門のS先生から高山茂美著「河川地形」をお借りして読みました。その作業をした後で初めて、河川水と無機イオンに関する最近の論文のレビューをして、塩素と硝酸がキーになるとの見通しを立てたのでした。
教科書を読む際に、書いてあることが自分の言葉で言い直せるか確認してください。言い直せないところは基本の原理が分かっていないからなので、高校の参考書で忘れているところを復習してください。
新しい分野に取り組むことになったとき、専門用語に慣れるだけで次に移ってしまうのか、それぞれの異動先での経験を分野横断的・総合的に考える基礎につなげるかは、教科書の内容を自分の言葉で説明できるまで理解するかに左右されると思います。
私は企業で常勤として働いたことはありませんが、以前にこのブログで紹介した「朝イチでメールは読むな!」の著者(キャノン電子社長)も非常に似たことを書かれているので、それほど的外れでない方法だと思います。