窒素循環研究戦略

科学技術振興機構主催の「窒素循環研究戦略ワークショップ」に参加しました。私を含め9名の研究者から、窒素循環に関わる社会的課題などが紹介されました。
窒素負荷増大の原因として重要なのが施肥と燃焼起源窒素。施肥については、窒素肥料が少なくても収量が高くなるよう品種改良することで抑制が期待できます。化学肥料が安価であることから、農業サイドからはそのような需要はでてきませんでした。環境保全の観点から、低窒素肥料でも育つ作物を推進する気運を社会全体で高める必要があります。
燃焼起源窒素が重要であることは既に明らかですが、これまでは主に水域での窒素濃度の増加が問題視されてきました。今日の発表で、窒素が少ない環境に適応した植物が絶滅する危険が指摘されていて、まさにその通りと思いました。娘が屋久島に山村留学した年にパックテストで渓流水の硝酸濃度を測ったのですが、鹿や猿しかいないような絶壁がそびえる西側の方が人里が近い東側より濃度が高く、中国からの越境大気の影響が明らかでした。手遅れにならない間に、詳細な植生調査と、万が一に備えて種子などを保存しておく必要があると思いました。