「水質浄化」EM菌効果 検証せぬまま授業

水面下で起こっていることは見えにくいためか、科学的には根拠がないのに義務教育で「事実」として教えられることがあります。4月1日記事で紹介した中学校地理の副読本もその一例ですが、同じように「水質浄化」効果があるとして学校教育で教えられてきた例が紹介されていました。この問題は水環境関係者の間ではかなり以前から問題視されてきたものですが、支持者との間には科学的な議論が成り立ってきませんでした。この問題を取り上げたマスコミの見識を、高く評価したいと思います。http://www.asahi.com/national/update/0703/TKY201207030458.htmlから一部を抜粋します。

「水質浄化」EM菌効果 検証せぬまま授業 青森  
「EM菌」という微生物を川の水質浄化に用いる環境教育が、青森県内の学校に広がっている。普及団体は独自理論に基づく効果を主張するが、科学的には効果を疑問視する報告が多い。県は、効果を十分検証しないまま、学校に無償提供して利用を後押ししている。あいまいな効果を「事実」と教える教育に、批判の声も上がっている。

EM菌は乳酸菌や酵母などの「有用微生物」を配合した微生物資材。農地の土壌改良用に開発されたが、水質浄化や健康飲料としても利用されている。環境保全の市民活動や有機農法を行う農家に広がっている。

県教委によると、昨年度、環境教育の一環としてEM菌を使用した小中学校は県内に7校。ほかの複数校でも使用例がある。多くは、EM菌を地域の川にまくことで「きれいになる」と教えている。

■「非科学的だ」

県東青地域県民局は2004年から、管内の希望校にEM菌を無償で提供し、実践を支援している。提供開始にあたり、県はEM菌による浄化活動が行われている川で1年間、水質を調査。だが、顕著な改善は確認されなかったという。

にもかかわらず継続している理由を「学校が水質浄化に関心を持ち、活動してくれること自体が有り難いことだから」と担当課長は話す。担当部署はこれまで、EM菌の効果を科学的に検証した文献の調査などはしていない。

朝日新聞デジタル社会その他・話題記事2012年7月3日18時20分より)