フィンランドには5000を越えるラグーンがある −VI EUROLAG & VII LAGUNET Conference情報

VI EUROLAG & VII LAGUNET Conferenceでの「おもしろかった大賞」は「フィンランドには5000を越える小さいラグーンがある」
ラグーンは砂州で湾が閉じてできる場合が多いので、小さなラグーンはすぐに埋まります。何でフィンランドには小さなラグーンが5000以上もあるかというと、氷河が運んだモレーンという礫列の間がラグーンになっているからです。
発表ではGISを用いて数えたら小さなラグーンが5000以上あったとの報告だけだったので、Social Partyの時に隣に座ってじっくりお話を聞きました。「そんな小さなラグーンが、なぜ埋まらないのですか?」「フィンランドのラグーンは石の壁で閉じているから。」石の壁??? さらに詳しく聞くと氷河が運んで来た岩だというので、「それってもしかしてモレーンですか?」「え?何でモレーンなんて言葉を知ってるの?」「実は私は地学出身で。。。」なんて感じで話が盛り上がりました。そうかぁ、確かにこれはラグーンだ。ということは、南極の汽水湖沼もラグーンと言えるんだ、等いろいろ気づかされました。
私があまりに興味津々だったからか、下記のリンクを教えてくれました。モレーンで閉じたラグーンの写真が載っています。
http://www.kvarkenworldheritage.fi/gallery/album/aerial-photographs

以下、「大賞」以外に興味を持った情報です。
・南米にもCorbicula fluminea(二枚貝シジミ)が進入し、工場のパイプが詰まるなどの弊害をもたらしている。
EMBOSS (European Marine Biodiversity Observatory System: http://www.embos.eu/) では同じ方法、同じ装置、同じサンプル処理で生物調査を行っている(堆積物の酸素消費速度なんてマニアックなことも統一しているEUですから当然なのでしょうが、羨ましい)。
ギリシャのPapas Lagoonでは中海同様、Prorocentrum minimumが赤潮を形成している。
・Passive samplerを使って、一定期間中の化学物質を汽水域で検出することができる。
・汽水域での生態毒性の検出にPhaeodactyum tricornutumという植物プランクトンを用いる方法が検討されている。
・ヨーロッパの外来種はEASINとDAISIEを使って検索できる。
外来種に関するセッションで「Japanese Garden化しているラグーンが多発している」との発言あり(種牡蠣にひっついて行った日本産植物の弊害は、思っていたより深刻らしい。。)。