水環境学会の身近な生活環境研究委員会の会誌「みず」に、大阪市立環境科学研究所の方が近況を報告されていました。公害が全国的に問題になっていたときに、それぞれの地方の実態に即した対策を立てることができたのは、自治体の環境研究所(以下、地方環境研)の調査や研究に多くを負っていました。しかし財政が圧迫する中、多くの地方環境研がリストラされてきました。大阪市立環境科学研究所も統廃合が計画されています。
以下、一部抜粋しました。環境、環境と声高に騒がれ、NPOなどへの支援が増える中で、専門家による地道なモニタリングや研究を行う組織を縮小するのは、本末転倒のように思います。
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大学の場合は先進的な研究と教育が目的であり,地方環境研が担ってきた地道なモニタリング業務を行うことはあまりありません。また,民間検査機関や民間コンサル会社は仕様書にある業務はしっかりと成し遂げますが,先を見越した調査研究をすることはあまりありません。こうした隙聞を埋めるのが地方環境研の役割で,行政の環境施策や危機管理事象への対応を下支えする機関であると考えており,まさに市会での論点となっています。加えて,市民や住民に対する説明や情報発信,さらに環境問題への協働での取り組みも強く求められる時代に変わりつつあるようで,改めてこれまでとは違った新たな地方環境研のあり方が問われているように強く感じました。