イルクーツクに戻りました

イルクーツクに戻りました。バイカル湖滞在中は電話にもメールにも中断されることなく、サンプリングとソーティング三昧という理想的な1週間でした。
さすが古代湖で、長径20cmくらいの礫ひとつ取っただけで、緑藻類3種類以上からなる「森」の中に、貝類、ヨコエビ数種類、渦虫類、ユスリカ類、貧毛類、多毛類が生息し、また緑藻以外にも底生ラン藻類や海綿類も付着していて、これほど楽しいソーティングは博士課程の学生だった頃、Fijiの離島でのサンプリング以来でした。おかげで植物・動物合わせて、前処理を終えたサンプルは100を超えました。幸いなことに今年度は指導学生ゼロなので、この貴重なサンプルを自分の手で分析できます。
礫浜のバイカル湖ですが、稀に砂浜や広い平坦部もあります。しかし抽水植物・浮葉植物は全くありませんでした。「バイカルのような波の高い湖には、抽水植物はない。もっと小さい池にならたくさん生えている」とT先生。
T先生とは不思議なほど意見が一致して、「生態学者は分類学を軽視する」については「それは日本だけでなく世界的な傾向だ」と言われました。良い仕事をたくさん出しているので(残念ながら大部分がロシア語ですが)私より10歳くらい年上かと思っていましたら、意外と1歳しか違いませんでした。
ライフスタイルも非常に似ていて、「よく寝てよく運動しなければまともな仕事はできない」ということで、夜は早めに寝て朝はジョギング、食事も添加物だらけのマーガリンではなくバター、野菜はオーガニック(可能な限り自家製)だったので、実験施設滞在中の生活も自宅同様に過ごせました。
彼となら楽しく仕事できそうですし、バイカル湖汚染の実態解明のためにも、何とかして国際プロジェクトを立ち上げようと思いました。