超貧栄養な生態系

「超貧栄養なサンゴ礁生態系では、窒素固定によりNew窒素を供給することでリサイクルではなく新たな生産が行われている。このような生態系では、わずかの栄養塩の増加で生態系が壊滅的な影響を受ける」という仮説は、私が世界で初めてサンゴ礁生態系の窒素安定同位体比を測定して提案したものです。
バイカル湖でも同様な事が起こる可能性があるとロシアの研究者に訴えたところ賛同してくれて、共同研究に要する経費を科研費に申請しました。その際に、ロシア側でもこのことを認識してもらいたいので文献を送ってほしいとの要請があり、 "coral reef" "eutrophication""coral degradation"でWeb of Scienceを検索したところ、Ecology and Evolution 2014; 4(9): 1706–1727の1709ページに下記の記載がありました。やっぱり私が最初で、かつ、ちゃんと引用してもらえているので、とても嬉しく思いました。
Introductions of bioavailable N through N2 fixation can increase rates of primary production (Dugdale and Goering 1967), and low d15N signatures noted in several reef primary producers is consistent with the hypothesis that much of the N in reef systems is derived from N2 fixation (Yamamuro et al. 1995; Hilting et al. 2013). However, N2 fixation in coral reef environments remains underinvestigated and likely underestimated (O’Neil and Capone 2008).
バイカル湖でも同様との仮定で研究を進めるのですが、手遅れにならないかが心配です。私の別の研究で、DINが検出限界以下でも窒素同位体比で見ると富栄養化が進行していて、それによりサンゴ礁生態系の感じがかなり違っていたからです。