介護費用を甘く見てはいけない

昨日紹介した「老後に破産する人しない人」で「?」と思った章がひとつだけありました。介護費用に関する章です。
例えば高額介護サービス費について、「同じ月に利用したサービスの1割負担の合計学が負担上限額を超えたときに、超えた分が高額介護サービス費として支払われる。」と記し、「このように医療は介護の自己負担は、際限なくかかるわけではありません。」としています。
実際は際限なくかかります。
厚生労働省の下記リンクを見て下さい。
http://www.kaigokensaku.jp/commentary/fee.html
居宅サービスを利用する場合、利用できるサービスの介護保険からの支給限度額は要介護度別に定められています。例えば要介護1だと166920円で、この範囲内でサービスを利用した場合は1割(16692円)が自己負担です。
ところが限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となります。 共働き世帯など、日中に自宅で介護できない家庭で要介護者を平日全てデイサービスに通わせると、自己負担額は10万円以上になります。帰宅時に自宅で待っていられないなどでヘルパーさんを雇うと、出費はかなりの額になります。それら自己負担額に対して高額介護サービス費からの補助は一切ないのです。
仕組みはこうです。上記リンクの下の方に、<高額介護サービス費>として、「月々の1割負担(福祉用具購入費等一部を除く)の世帯の合計額が所得に応じて区分された上限額を超えた場合、その超えた分が介護保険から支給されます。」とあります。要介護1の場合は1割負担額は16692円です。
表を見ていただくと例えば「世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金収入額+合計所得金額が80万円以下」の場合は上限額は24600円ですから、16692円は上限額を超えていません。なので高額介護サービス費からの支給はゼロです。生活保護者など全く収入が無い方の場合のみ、上限額が15000円なので、1692円だけ支給されます。つまり高額介護サービス費で支払われる額はほとんど無いと考えるべきなのです。
「老後に破産する人しない人」では介護サービスの自己負担の限度額を目安にして介護費用を見積もるよう勧めています。実際の介護は、限度額をはるかに超えるのではないでしょうか。「老後破産」しないためにはいくら貯めねばならないか諸説ありますが、子供に介護費で苦労させないつもりでしたら、要介護1になったら月10万円くらいは在宅介護にかかると考えて貯金すべきです。70歳で要介護1になってその後80歳まで要介護1の状態を保って生きるとすれば、介護費用だけで1200万円必要になると思われます。