年金破綻

今年も届いた年金定期便、65歳以降の年金予定額が約220万円と書かれていて、見る度に憂鬱になります。1930年生まれの父親の年金の6割しかないからです。
父親は私と同居しているので、日常の世話は私がやっています。80歳頃から認知症の症状が出始め、以来、科学的に考えつく様々な対策をすることで今も自宅で生活できていますが、認知症や歯科の治療費を加えると、年金額でぎりぎりです。この10年の間に圧迫骨折や心筋梗塞で入院しましたが、そういった経費は父が若い頃から資産形成してくれていたので、それを取り崩すことで何とかなっています。
父を見ていると、今の高齢者は子供の援助が無い限り、年金だけで生きていくのは相当厳しいだろうと実感します。実際、老老介護で破綻したり、子供がいても介護疲れで親を殺す例が増えています。
220万円の年金は満額受け取れるのではなく、ここから税金や社会保険料が引かれます(初めて知った時は、え?年金生活者から税金や社会保険料とるの?とビックリしました)。元気でいても絶対に足りないのですが、仮にこれで足りるとして、父のように80歳から介護が必要になったとします。私の場合は子供が世話してくれる可能性は低いのですが、それでも世話してくれるとして、父親と同じ額が毎年必要(入院経費などは除く)としても、90歳までの10年間で、父との年金差である1400万円が不足します。
かなり楽観的に見ても、90歳まで生きると1400万円不足してしまう私の世代の年金。もし80歳以降に自宅でひとりで過ごすためにヘルパーを雇う、もしくはケア付きホームに入るとしたら、65歳から80歳までの生活費の不足や大きな病気にかかる費用をいれなくても、1400万円の倍、3000万円近くは必要となりそうです。
なので自己資金3000万円は、人間らしい老後を送るための最低ラインだと思います。これに65歳から80歳までの生活費の不足分(年80万円として15年で1200万円)と、65歳から90歳までの25年でかかるケガや病気の治療費を300万円(根拠無し)とすれば、65歳の定年までに自己資金として蓄えておくべき額は、4500万円になります(私のようなシングルの場合)。
パリから一時帰国している娘が、「私って日本の会社やめてから年金払ってないけど、老後にもらえるのかなぁ?」と尋ねてきました。「たとえ払っていても、私がおじいちゃんの半分しか戻らないことを考えると、あなたの代だと年に100万円じゃない?こんなので生きていけるはずないから、もう日本に帰るなんて思わず、ヨーロッパの社会保障が充実した国に国籍移すのがいいと思う。」
これは本心です。