バイカル湖南部の現況

2014年7月に私がサンプリングした直後から、次々と共生海綿が死にだしたバイカル湖。今回、南部の数地点を回って、異変は人為起源の可能性が高いと思いました。
この何の変哲もない河川、バイカル湖に注ぐ直前で採水したところ、アンモニアが10mg/Lありました。

間隙水の硝酸濃度も高く、おそらくそのことで付着緑藻が増えたのだと思います。下の写真では打ち上げられた緑藻が湖岸に沿って堆積しています(黄色い枠内が拡大写真です)。

こういった栄養塩の増加だけでなく、有機塩素化合物の影響も懸念されます。下の写真は湖岸に隣接する廃パルプ工場です。ソ連時代は排水などもきちんと管理されていたそうですが、ロシアになってから民有化され管理が杜撰になり、バイカル湖への影響を懸念する声に押されて数年前にプーチン大統領が閉鎖を命じたそうです。ただし解体工事はされず、原料や排水などもそのまま放置されているとのことです。

数千万年かけて貧栄養な淡水に適応してきた生物達にとって、こうした人為的負荷は致死的なのではないかと危惧されます。