最も人の影響が少ないバイカル湖沿岸も富栄養化

Bolshoy Ushkanyi Islandsはバイカル湖でも最も人為的影響が少ない場所として知られています(例えば下記URLの英語での解説)。
http://www.russia-ic.com/travel/travelling/3238/#.WA2KaMlL2U4
そのBolshoy Ushkanyi Islandsでも底生緑藻類が、東京湾のアオサより分厚く堆積して腐敗していたと、共同研究者のT先生から報告いただきました。下の写真の黒くなっているのが腐った緑藻類です。

私がバイカル湖に興味を持ったのは、バイカル湖が世界の淡水湖沼の4分の1の水を保有しているからです。次に戦争が起こるとしたら水を巡る問題が原因だろうとさえ言われているほど、水資源の枯渇は深刻な問題です。日本は水が豊富なようで、一人当たりにすると水不足寸前にあります。水安全保障のためにも、お隣の国にある豊富な水がいつまでも清浄であるよう協力することで、いざとなったときに多少は分けてもらえるような素地を作っておくべきだと考えました。
しかしここまで一気に汚染が顕在化するとは、思ってもみませんでした。水量が大きいので深いところの水は富栄養化していませんが、湖岸の生態系が脆弱になることで、沖帯にも壊滅的な変化が起こるかもしれません。なぜ湖岸が人為的な影響が少ないところでも富栄養化しているのかの原因解明とともに、今後沖帯に何が起こりえるのか、科学的知見の集積と合理的な推測によって予測し、予防策を提案しなければならないと思っています。