バイカル湖危機のテレビ番組

先週金曜日午前は、ロシアのテレビ番組の取材対応でした。
バイカル湖の湖岸で緑藻が大量繁茂していて、湖岸での栄養塩濃度が増えていることは明白です。しかし「バイカル湖のような大きな湖沼で栄養塩濃度が増えるはずがない。」と、ロシアの大部分の研究者が栄養塩濃度の増加を否定しています。
「現場を見ないでよく言うよ。」と思いますし、そもそもどんなに大きな湖沼でも、湖岸の水が一瞬で湖水全体と混合するはずがありません。外洋とつながっている内湾が富栄養化するのと同じです。
現実に湖岸で緑藻が東京湾のアオサのように堆積して腐敗している様子や、河口近くの湖水から高密度の大腸菌が出ているデータを公開しているロシア人のT先生が事実で説明しても、「研究費がほしくて危機を煽っている。」と批判されています。
このため、ロシアの科学アカデミーと利害関係がない日本人の私の証言が重要と、12月に放映予定のバイカル湖の危機を伝える番組は私の出番が結構多くて、かつロシアでの撮影だけでは不足している分があるとのことで、今回の取材になったのでした。
水質浄化目的でのアサザやヨシの植栽にしても、このバイカル湖の問題にしても、あと50年もすれば「何で当時の科学者の多数派は、これほど馬鹿げた説を信じこんでいたのだろう?なぜ山室くらいしか『おかしい』と声を上げなかったのだろう?」と、全く理解できないでいるに違いありません。