シオグサ、恐るべし

下の写真は「Cladophora Great Lakes」でググって「画像」ボタンを押したら出てきた画面です。

北米大陸五大湖ではかなり以前からシオグサ(Cladophora)被害がひどく、レクリエーションに影響がでる程度ではなく、腐ったシオグサにボツリヌス菌が繁殖していて、それを食べた水鳥が大量死するなどの、とんでもない状況になっているようです。
ヨーロッパの沿岸でもすごいことになっていて、海岸に積もったシオグサをトラックで回収していた作業員が、腐ったシオグサから発生する硫化水素にやられて亡くなったそうです。
宍道湖でも水草にシオクサが絡んで漁業被害が懸念されています。私は「水草の芽生え段階から根こそぎにすべき」と主張しているのですが、「根こそぎではなく有効利用を考えるべき」との現場を知らない生態学者のおかげで、競争的資金がヒアリングまで行って落とされました。琵琶湖での堆肥化を見れば、全く経済的にペイせず自治体の持ち出しになるのは分かりそうなものですが。その上、海岸に積まれたシオクサでさえ人を殺すこともあるのですから、水草とシオクサが混ざったものを積んでおいたら、悪臭だけで済まず、ボツリヌス菌硫化水素によって生態系に悪影響が出る可能性が十分あります。
こと水界生態系で起こっている現象については、日本の生態学者でまともなセンスを持っている人は本当に少ないなぁと思います。まず国際誌をほとんど読んでない。Schefferのalternative stable state theoryなんでとっくの昔に本人が大幅に改変したのに、未だにオリジナルを信じている生態学者ばかりで呆れてしまいます。さらには現場に行かず、行っても上から眺めるだけで、潜水して調べるとか定量的に分析するとか、そういったことができないくせに知ったかぶりをする人が多すぎます。こういう人達が資金をどの研究に配分すべきか決めるのですから、いつまで経っても日本の水界生態系が回復しないのだと思います(元生態学会長なんか、アサザを植えれば霞ヶ浦の生態系が回復するなんて本まで出してますし)。