日本の里湖の理想は佐鳴湖にある

昨年12月、静岡県佐鳴湖岸1周を視察、翌日「都市と里湖 身近に水辺のある都市:『陸の水』という観点から考える」と題して市民向けの講演を行いました。
それから約1年、地元で「月刊さなるこ新聞」を発行している方が最新号とともに、この1年の歩みをお便りくださいました。その一部を紹介します。また1年前の寄稿と今月号の該当部をリンクしました。また「月刊さなるこ新聞」は下記リンクから閲覧・ダウンロードできます。
http://lowell.cocolog-nifty.com/gizen/
11月30日記事で、「水界生態系の撹乱の原因はよく言われる公共工事でも外来魚でも富栄養化でもなく、1950年代後半以降に急速に種類が増えている人工化学物質であると確信するに至った。」と書きましたが、そう確信する上で大きな影響を受けたのが、佐鳴湖です。集水域は住宅、湖岸だけでなく湖底も人工的に改変され、沈水植物は皆無です。CODも高いまま。それでもこの湖ではウナギにまで至る食物連鎖がしっかり機能し、子供達が人工湖岸でテナガエビ釣りを楽しんでいます。面積あたり非養殖エビ類・ウナギ類の生息数は、間違いなく日本でここが最大のはずです。
人口が集中する日本の平野部で、日本人はどのように里湖とつきあい、どのような形でそれを継承するか。佐鳴湖にその回答があります。
その佐鳴湖の住民の方々が下記のように佐鳴湖学を展開していかれるとのことで、とても心強く、嬉しく思いました。
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一年前の講演前日の湖周辺の案内、そして講演を受けてのご寄稿「ひとり一人が市民の科学者になって観察を」をこの1年実行してきました。その一つが、佐鳴湖での市民によるアカミミガメなどの実態調査とその報告です。りっぱに市民科学者が育ちつつあります。しかも、今回の調査の資金はクラウドファンディングで獲得した資金が使われています。
環境COD第一主義をこえて、文化的景観、歴史的な景観も含めた市民と研究者の協働による佐鳴湖学を今後も展開していきたいと思っています。