陸水研では自分がしたいテーマを(水環境である限り)自由に選べます。おかげで修論のいくつかは私の専門から離れていて手に負えず、まだ学術誌に掲載されていないものがいくつかあります。
あと4年半で定年なので、それまでに私で投稿論文にできそうなものは出してしまおうと3本平行して取り組んでいて、うち1本は本日、受理通知が届きました。1本は1度目の査読を受け、卒業生本人に対応をお願いしています。もう1本はまだ執筆中です。
残りはまず、アメリカザリガニ関係が2本。生態学の流行の理論を言及しないと受理されそうにない内容なのでイマイチやる気が出ず、手をつけていません。「完全三次元流体モデル」「メタボロミクス解析」は逆立ちしても無理です。どちらの学生も理学の研究に近い分野に就職しているので、いざ学位に必要となれば本人がまとめてくれるだろうと期待しています。
「急勾配河川の掃流土砂移動機構に関する研究」は、これでも地理学出身なので地理関係の和文誌に投稿しましたがリジェクトでした。指導をお願いしていた先生曰く、「これは国際誌じゃないと理解してもらえないよ。」いや、日本語ならともかく、英語で地形学の論文を書くとなると専門用語に何を使えばいいのかさえわからないので、私では無理ですよ。その先生が定年になったら暇ができて英語化してくれるのを期待していたのですが、定年後もなぜか学生を指導していたりして、まだまだ手をつけてくれそうにありません。
私で何とかなりそうなので残っているのは「樹林化の遷移段階における窒素循環プロセス」です。今でもオリジナルな内容があるか確認して、投稿を検討したいと思っています。
一方で、現役の修士学生の修論が積み残しになるといけないので、専攻と和解して業務復帰してからは、外国人学生を受け入れるようにしています。大学でトラブルがあったときに大使館に逃げ込めるのと、英語で書いてくれるので、私が英語にする手間を省けるからです。狙い通り、最初の中国人留学生さんの修論は、そのまま投稿できる完成度でした。日本人学生でここまでのレベルには滅多にいかないので、私のホームページの「進学希望の方へ」欄には「研究成果は原則、国際誌に投稿することを義務づけておりますので、英語で科学論文を読み書きできる能力を身につけていることも重要です。」と明記しています。来年度は日本人学生の進学はありませんが、残りの3年もこの原則でいきます。