県民にウソを言う県庁はいかがなものか

2021年11月20日に、島根県知事への提案として下記が投稿されました。
「宍道湖で1993年を境にワカサギ、ウナギ等が獲れなくなり、漁獲量の激減時期とネオニコチノイド系農薬販売開始時期が一致していることから、当農薬の影響が疑われると考察している研究が紹介されていました。この農薬の影響について、県として調査、分析、対策をされる予定はありますか。」

島根県:ネオニコチノイド系農薬について(トップ / 県政・統計 / 政策・財政 / 広聴・広報 / 知事への提案箱 / 今までにいただいたご提案と回答 / 2021年 / 2022年1月)

これに対して島根県農林水産部沿岸漁業振興課が2022年1月7日付けで、
「ワカサギは水温30℃以下の環境に生息する魚で、宍道湖は分布の南限に当たりますが、漁獲量が急減した1994年は、夏に30℃以上の高水温が続き、ワカサギのへい死が生じた可能性が高いと考えられました。また、近年のほとんど漁獲されない状況についても水温の影響が大きいと考えています。」
と回答しています。
その農林水産部の研究者が「平成13年度島根県内水面水産試験場事業報告」に「宍道湖・中海水産振興対策検討調査事業- 有用水産動物生態調査(ワカサギ、シラウオ)-」を報告しています。水温について下図を掲載し、「ワカサギ漁獲量経年変化と比較すると、30℃の観測回数が800回以上と極めて多い平成2年、平成6年は漁獲量は少なかった。また、30℃の観測回数が比較的多い、平成7、8,12,13年も漁獲量は少なかった。これらの年で、ワカサギ漁獲量が少なかったのは、3 項で示した結果からも、夏季高水温によりへい死が生じた影響による可能性が高い。しかし、30℃を超えることがほとんど認められなかった、平成9~11年にも資源は回復することはなかった。これらのことより、平成6年以降のワカサギ不漁は、夏季高水温のみの影響ではないと考えられる。」と結論しています。

この結論は事実に基づいたものです。
それに対し高水温が影響しているとの2022年1月7日の回答は事実に基づかないことです。つまりウソです。島根県農林水産部は県民に平気でウソを言う部署と思われてもしかたないでしょう。
「宍道湖・中海水産振興対策検討調査事業- 有用水産動物生態調査(ワカサギ、シラウオ)-」は下記からダウンロードできます。

https://www.pref.shimane.lg.jp/industry/suisan/shinkou/suigi/publish/jigyouhou/2001/naisuimen.data/01-3-a.pdf

また過去にも「宍道湖ワカサギ減少高水温説」は科学的根拠が極めて乏しいことを記事にしていますので、参考にされてください。