沿岸環境関係者のネットワーク

地球環境研究センターニュースVol.20No.7に「アジアと太平洋の生物多様性を見守る観測ネットワーク作りにむけて−AP-BON 国際ワークショップ報告−」との記事がありました。
現在、生物多様性観測のネットワークを構築しようという動きが世界スケールで進んでいて、その中心となっているのが地球観測に関する政府間会合(Group on Earth Observation: GEO)のもとに組織された生物多様性観測のネットワーク(Group on Earth Observation - Biodiversity Observation Network: GEO-BON)なのだそうです。これに対応して日本では、今年2009年の4月にGEO-BON日本委員会(Japanese Biodiversity Observation Network: J-BON)が自発的な組織として立ち上げられ、国内の研究者、行政関係者、NGO関係者など、約150人がそのメンバーとなっているとのこと。目的は、これまで広く公開されることなく私蔵・死蔵されることも多かった生物多様性関係の調査データを、ネットワーク化して収集・整理・公開することにより、広域的な現状把握やトレンドの解析を可能とし、保全にも役立てること。筆者曰く「まったく予算的な裏付けがない段階で、これだけの人数が集まったことは特筆に値するだろう。」
なぜこの記事が気になったかというと、沿岸環境に関わる理系研究者、文系研究者、民間(財団、企業)、行政、市民などの間で、誰が何をしているのか情報を共有できるネットワークが必要だと、常々考えていたからです。「里湖モク採り物語」は、自営コンサルの方と行政(県)の研究者の方との共著です。これらの方々と宍道湖・中海を共通項として情報交換できたことが、かつては沈水植物が湖沼に繁茂していて、かつ人々がそれを肥料として刈り取っていたことが湖沼の持続的な利用を可能にしていたという発見につながりました。
沿岸域の環境問題は、地球温暖化の影響もあって、これからますます複雑で多様になっていくと思われます。漂着ゴミ問題など、地域住民の方や行政が関わらないと絶対に解決しない問題もあります。
それで、先述のようなネットワーク形成を目的に、1月中〜下旬にシンポジウムを開こうと考えています。ネットワーク形成のための予算的裏付けは全くありませんが、J-BONのように、多くの方の参加と賛同を得られればと思います。