手賀沼のヨシ帯に関する千葉県見解の怪

手賀沼に流入する大堀川河口部には、千葉県が「水生植物群落」とする地帯が広がっています(千葉県の見解は、たとえば下記の35ページ「手賀沼における水生植物群落分布図 令和元年8月時点」で見ることができます)

https://www.pref.chiba.lg.jp/suiho/kasentou/teganuma/documents/koudou-all.pdf

この一帯は国土地理院の地図では「荒地」とされています。「利用されず、荒れたままになっていたり、雑草が生えた土地や湿地、沼地などで水草が点々と生えているところを表す」が荒地の定義です。
現地に行けば、この広大な土地は水生植物群落ではあり得ないことが一目で分かります。西側には矢板が入っており、そのそばには植栽としか考えられない配置で樹木が並んでいます。

東側にはヤナギ類が入り込んでいます(下の写真)。失火などで延焼する危険がありますし、洪水時に通水阻害を起こすかもしれません。

千葉県のこの地帯の扱いは「怪」以外の何物でもないことが、下記論文で詳述されています。

小室隆(2024)手賀沼の流入河川河口部に広がるヨシ群落の形成過程.陸水学雑誌85:25-35.

さらには、千葉県は「手賀沼ではヨシが減った」とか「ヨシには水質浄化効果がある」として植栽を続けていると聞きます。大堀川河口をヨシ帯とするなら、手賀沼では1950年代よりヨシ原の面積は増えていることになります。そして、そういったヨシ帯に水質浄化効果や魚を増やす効果などあるハズないことも、上の写真から分かります(陸地になってしまっているのですから)。
千葉県の委員をしていたときにこのことは指摘続けていましたが、千葉県は聞く耳を持ちませんでした。今もそのようです。