不可抗力

円安が急速に進むと多くの人が大変困りますが、研究者も困ります。科研費など助成金獲得後に円安が急速に進むと、輸入品だけでなく国産とされる消耗品なども値上げになります。だからと言って獲得した助成金が、その後の円安・物価高分、増額になることはありません。過去に一度、急速な円安で予定していた機器を変えなくなり、計画を変更したことがありました。
そういった不可抗力による変更は、為替変動の他に2回ありました。
ひとつは阪神淡路大震災により、神戸にあった当時のアレック電子に特注していた超小型塩分計が、完成と同時に工場が倒壊して納品できなくなったこと。この時は特別に、翌年度納期で支払えるように予算組み替えをしてもらうことができました。
もうひとつはコロナ禍で米国五大湖の現地調査が3年も延期になったことです。その間、共同研究者のテーマが変わってしまい、別の共同研究者を数ヶ月かけて探すことになりました。幸いなことに知人の知人のそのまた知人がたまたまUSGS(米国地質調査所)の研究者で、「私も前職はJGS(地質調査所)!」とメールでやりとりしているうちに意気投合、先方の現地調査のときに別に車を出してくれて、数日間つきっきりでエリー湖・オンタリオ湖を爆走していただきました。
定年まであと2年を切りましたが、まだまだ何が起こるかわかりません。ウクライナやパレスチナの紛争が収束しないと物流不安は続きますし、円安が200円台くらいまで進むかもしれません。最低限、学生さんの研究だけは完遂できるよう、油断できない日々が続きます。