宍道湖、卒業します!

20歳から続けてきた宍道湖研究、発端は宍道湖淡水化問題で、淡水化したら底生動物はどうなるかで卒論・修論を書き、中でもヤマトシジミがいなくなることで水質がどうなるかで学位を取りました。
以来、手を変え品を変え助成金を取り続けて研究を続けていたところ、2010年頃から水草の異常繁茂とシジミの激減が起こり、島根県水産サイドから原因解明と対策立案の研究を依頼されました。その予算だけでは足りず、国交省の競争的資金も獲得し、足かけ6年かけて水草・シジミ双方の繁茂原因を解明し、対策も示しました。
その後は県から研究要請はなく、シオクサ異常繁茂問題は10月までの期限で助成を受けている研究で方向を出します(対策は別の湖で研究します)。この10月までの助成研究をもって、宍道湖の研究は終わりにすることにしました。
宍道湖は国内とは言え茨城からは遠いですし、大雨とかイベントがあった時にすぐにサンプリングに行くこともできず、アオコが発生したとか魚が浮いたとかの情報も十分には伝わってこないので、この39年間、すごくストレスを抱えての研究でした。ミンダナオとかバイカルに行くにも、8月には宍道湖行かなきゃ。。というのがあって、日程調整も大変でした。「宍道湖、もうやめよう。」と決めた途端、他のいろんな研究が楽になりそうで、肩こりが少し軽くなりました(気のせいでしょうけど)。
住まいのある茨城県には、車で15分で霞ヶ浦が、1時間で修論でも調査した涸沼(宍道湖と同じ塩分)があります。また大学近くの手賀沼は、ハスが広がったり、劇的に水質が変わって水鳥相が一変したりと、すごく面白い湖です。今後はこういった常に観察できる水域を中心に、国内とは極端に環境が違う大陸の湖と比べながら研究する予定です。
宍道湖は汽水湖で、今後も気候変動などの影響で、いろいろ状況が変わります。そういった変化を自分で把握せずに意見するのは科学者として避けたいので、宍道湖関係の委員も全てお断りする予定です。
もし宍道湖研究を再開するとしたら、地元の方が日頃からこまめに状況報告してくれることと、研究費を十分出してくれることが条件です。いろいろ申請し過ぎて、もう自分で助成を取ってこれるネタがなくなってしまったので ^ ^;