冬型晴天強風時に首都直下型地震が起こったら?

先月末に起こった猪口議員自宅マンション火災について、出火したのは応接室、暖房は床暖房やエアコンなどでストーブは使われていなかった、ライターなど着火につながる物も無かったなどと報道されていました。
その中で下記記事は「電気火災」という用語を使っています。

応接室が火元か ストーブなどなく電気が原因の可能性も 猪口参院議員自宅火災

首都直下型地震が起きた場合、地震後の「通電火災」が懸念されています。

災害後の「通電火災」を防ぐために | 千葉県茂原市の公式サイトへようこそ!

国の想定では首都直下型地震では最悪41万棟が消失し、特にリスクが高いのは山手線外側の木造住宅が密集して広がる地域としているそうです。

猪口議員自宅は山手線内側です。また木造ではなくマンションです。それでも全焼し、ご家族が亡くなってしまったのです。
埋立地のタワマンも、個々の部屋では通電火災が起起こり得ます。下記記事は「防災型マンション」の方が木造戸建てより災害リスクが低いと解説しています。通電火災に限れば、どちらも自宅内で可燃性の物に引火するわけですから、木造1戸建てでもマンションでもリスクは変わらない気がします。

埋立地のタワマンの場合、建物は液状化対策をしていても道路がされていなかったら、道路が通行不能になり消防車が来れない可能性もあります。東日本大震災のとき、埋立地に広がる浦安市では液状化により各所の道路が通行できなくなりました。

ここ数日の首都圏のような「冬の夕方、風が強い最悪の場合」、死者はおよそ2万3000人、その7割にあたるおよそ1万6000人が火災が原因で死亡と推定されています。

この推定はほぼ確実に、液状化による被害拡大を想定していないと思います。

特集 首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)‐内閣府防災情報のページ : 防災情報のページ - 内閣府

関東大震災が起こった9月1日は「防災の日」として、地震・台風に備える訓練が行われていますが、台風接近と合わせて高潮状態になった状態で地震が発生し、防潮堤や堤防が決壊する複合災害への対応訓練が行われたとの報道は記憶にありません。起こり得るとの指摘はありますが。

建物が密集すると火災の延焼を防ぎにくいのは既知です。埋立地が液状化しやすいのも既知です。0メートル地帯が堤防や防潮堤が決壊すると危ないのも既知です。単純な「既知」のリスクに備えるだけなら政策で防げると思うのですが(例えば首都機能を分散して密集を避けるとか)、そういった政策をとれていないのが日本の不思議なところです。