今日の動態ゼミでは当研究室の修士(M)1年のお二人が、卒業研究を紹介してくれました。
バクテリアを付着させる基盤がフィルム状かサイコロ状かで、脱窒素速度が倍以上違うという実験結果。反応槽でのこの結果、現実の環境ではどのような状況に似ているのか、もしくは環境再生にどのように生かせるのか、考えてみると面白そうです。
日本では人間への影響が重視されていない、とある化合物の河川水中の微量濃度結果の紹介、見るからに大変そうな分析でした。なおかつサンプルは某研究機関から作業仮説もなく送られたもので、とりまとめお疲れさま、の一言。
うちにある分析機器はプリミティブなものしかありません(安定同位体だけは、当面は前職の産総研に置いてある装置を使えます)。でも、水環境について明らかにしたいことを考えて、現場に行って予備調査をして作業仮説を立てて、その仮説を証明するには何をどのように現場で調べ、試料を分析し、実験するかを考えて、その作業仮説が正しいことを証明するというプロセスを全部自分でできます。証明できなかったら仮説のどこが間違っていたのか、結果から検討して、修正した作業仮説を検証する。そういった、自然科学の基本的な研究手法を立案して実行する訓練は、自然科学以外の仕事にも役立つことと思います。
もちろん、要請があればコメントやアドバイスはします。また、うちでできない分析・実験は、私が地理学教室でできなかったことを海洋研究所で指導してもらったように、研究室の外で学ぶ機会を探そうと思います。
せっかくですから、はまってしまうくらい面白い対象を、修士論文の研究テーマに選んでください。