ため池という環境

また宍塚大池に行きました。水草の芽生えを捕食する動物が入らないように、ステンレスのザルを6月7日に設置したのですが、その後の様子を観察する為です。
岸からすぐの所なのですが、恐くなるほどズブズブ沈んで、2m先にたどり着くのも大変。ようやくついて、水深10cmほどなのに濁って辛うじて見えるだけのザルを引き上げようとしたら、見えているトップの部分まで浮泥で埋まっていました。これでは水草は芽生えられません。

この池では、かつてはクロモなどの沈水植物が生えていて、シードバンクからはシャジクモもでてきます。でも、こんなドロドロの湖底になっては、捕食以前に、岸から見た感じではシャジクモがあってもおかしくないここでも、芽生えることができなさいんじゃないかと思いました。特に夕方、昼間、泥の中に手を突っ込んだだけなのに、手の肌がばりばりに荒れてきたのをみて、ますますそう思いました。
私は学生の頃、硫化物が比較的多い宍道湖の堆積物を触っていたので硫化物には慣れてしまっていて、多少の泥仕事では手は荒れません。でも宍塚大池の泥は表面近くまで真っ黒で、たぶん宍道湖より強い還元状態です。

どうしてなんだろう。。。ひとつ思ったのは、ため池というのは自然の地形ではないことです。普通、平野部の下流の池でこれくらいの大きさなら、もう少し浅いはずです。ため池というのは一般に、水を貯めるために面積の割には深くなっていると思います。そうなると、深さの割に吹送距離が小さいから、風波が立ちにくく、浮泥がたまりやすい。浮泥がたまりやすいから、抽水・浮葉植物は継続して生えるけど、沈水植物は生えにくい。
沈水植物が生えないと有用な水産動物が住みにくいから、ため池は定期的に干し上げていたのかもしれません。あるいは硫化水素がでてくるほど還元的になってしまい、作物にも悪影響を与えるために干し上げたのかもしれません。
ため池と、自然の営力でできた池沼や湖とでは、水草の生え方についても分けて考える必要がありそうです。。。