どっちかですよ理論と宍道湖

浅い湖沼の一次生産者についてはShcefferのAlternative stable state theoryが有名です。おおざっぱに言えば、浅い湖沼では沈水植物が優占して透明な状態と、植物プランクトンが優占して濁った状態の、どちらかしかないよ、というものです。もともと浅い湖沼では沈水植物が優占していました。しかし富栄養化が進み、植物プランクトンが増えると、透明度が低下します。それがある限度を超えると沈水植物が一斉に衰退し、それまで沈水植物が使っていた栄養塩を植物プランクトンが使用するので、濁度が一気に上昇します。こうなってしまうと、沈水植物が衰退した時点まで栄養塩濃度を削減しても、沈水植物は復活しないというのがポイントです。
しかし宍道湖ではこの理論は当てはまりませんでした。下の写真は上空からみた宍道湖です。一面のアオコです。

宍道湖では数年前から沈水植物が増え始めました。栄養塩濃度が減ったわけではないことは、アオコが発生していることからも分かります。エビモなどが主流で、かつての宍道湖で優占していたシャジクモ類は皆無です。

Schefferの理論が全く当てはまらない、アオコと沈水植物が共存する宍道湖。この原因、私には分かるような気がしていて、目下、データの確認中です。