次は寝屋川病?

10月に行われた柏キャンパスの一般公開で、私は「第2回 環境学入門講座(東大環境学系スタッフによるリレー講演会)」の講師の一人を勤めさせていただきました。役得というか、他の先生方の講演も拝聴できたのですが、その中で環境システム学専攻の影本先生が、「廃プラスチックの機械的処理過程において発生する化学物質 −杉並病を契機として」との演題で講演されました。
杉並病とは、1996年4月杉並区に建設されたプラスチックリサイクルのための廃プラスチック圧縮中継所の稼働と同時に住民に発生した、健康被害です。たまたま、前の職場の産業技術総合研究所に関わる方がこの病気を発症されたことから(産総研の一部はかつて、杉並病発生地の近くにあったので、退職されて自宅に戻られた方が発症してしまったのです)、杉並で起こっていることについては、全く知らないわけではありませんでした。
ところが、講演の中で影本先生が「全国各地で同様な施設の建設あるいは建設計画が進められていて、私の所にも相談が来ている」としてリストアップされたひとつに「寝屋川市」とあったのには仰天しました。7歳から18歳まで過ごした、私にとって故郷と言えるところが、この大阪府寝屋川市だったからです。何でそんな施設が故郷にできてしまうの?と周辺に散々愚痴ったところ、知人が「こんなサイトがあるよ」と、「廃プラ処理による公害から健康と環境を守る会」を教えてくれました。健康被害が現実に発生しているにもかかわらず、同様の施設の建設計画が進められてしまっている実態がよく分かります。
このサイトでは、11月22日にご紹介した、本学環境系環境システム学専攻の柳沢先生による意見書が掲載されています。その中で先生は「本件施設の立地が計画されている地域は、既に非メタン系炭化水素(揮発性有機化学物質)によって高濃度に汚染されており、新たな非メタン系炭化水素(揮発性有機化学物質)の発生も予定されている。このような現状の下で、さらに悪化させる可能性のある本件施設を計画地に設置することを、是認する合理的理由は見出せない。」と反対を表明されています。
柳沢先生が支持されているプラスチックゴミの燃焼処理については、環境問題に関心の高い知人からは批判が寄せられています。しかし、プラスチックゴミの圧縮中継所に対する先生の見解を見る限り、やはり様々な可能性を考えて、プラスチックゴミが氾濫している現状で、ワースではない処理方法としての選択なのかと、改めて思いました。

PS:今日は大学でちょっとした行き違いから有毒なVOCを吸ってしまい、血圧が170を越え、吐き気や頭痛がひどく、専攻ゼミをさぼって診療所で寝てました。今の世の中、何気ないことから化学物質に過度に曝露してしまう危険性が転がっていることを、改めて痛感しました(まだ頭痛がする。。。)。