寝屋川廃プラ公害裁判に見る司法の科学リテラシー

「日本の科学者」2012年11月号に「寝屋川廃プラ公害裁判に見る司法の科学リテラシー」が掲載されました。
寝屋川廃プラ公害裁判とは、廃プラスチック(廃プラ)処理施設から排出される有害化学物質(揮発性有機化合物= VOC)による大気汚染によってシックハウス類似の病状が発生したと住民が訴えた裁判です。
その司法の科学リテラシーは、どの程度だったのか。原告の訴えを棄却した1審、2審では、「VOC は発生源を中心として周囲に円状に拡散し、風があれば風下側に移流していくものであるが、本件施設の年間を通じた風向からすれば 360 度いずれの方向も風下になり得るのであって、特定の方向だけに被害が集中するとは考えがたい」と述べています。現実には地形や卓越風向などの影響がありますから、たとえば福島原発事故による放射能汚染地域が発生源から同心円状に広がるどころか、つくばや柏がホットスポットになっているのは周知の事実です。むしろ現実の環境で、360度均等に流れていくことの方が稀ではないでしょうか。こんなことが理解できない方々が判決を下すというのは、ちょっとぞっとしますね。
全文は下記にある著者のホームページで閲覧できます。
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