琵琶湖におけるはっけん号と淡探の運用にかかわる要望書への署名のお願い

11月24日記事でご紹介した「淡探」存続署名のお願いです。湖を自由に泳ぎ回り、撮影や観測ができる自律式ロボットがあるのは、世界でも琵琶湖だけです。これは日本の陸水学が誇って良いことだと思います。署名用紙は末尾にJPEGで貼り付けてあります。
みなさまのご協力をお願い申し上げます。

                                                                                          • -

 滋賀県の深刻な財政危機によって、滋賀県琵琶湖環境科学研究センター所有の実験調査船「はっけん号」と自律型潜水ロボット「淡探(たんたん)」の来年度以降の運用が絶望的になっています。地球温暖化に伴う湖底環境の急激な悪化を正確に調査し、深底部の無酸素化による水質と生態系の劇的な劣化を抑止し、わが国最古でかつ最大の淡水湖である琵琶湖を保全するためには、はっけん号と淡探の来年度以降の持続的な運用が必要不可欠です。私たちは、財政難の中、嘉田由紀子滋賀県知事に適切な方策を勘案していただくことをお願いしております。つきましては、この趣旨にご賛同していただけます方は、添付の要望書にご署名の後、12月7日までに要望書裏面の住所宛に、郵送もしくはPDFでご送付をお願い申し上げます。皆様のご支援を、よろしくお願いいたします。

資料
 実験調査船「はっけん号」の建造につきましては、1980年代に琵琶湖研究所(当時)の研究者が、漁船を用いて調査中に、強風のため難破し、漂流したことがきっかけとなり、あらゆる気象条件の中で調査を行うにはどうしても高性能な調査船が必要であるということから、5年間毎年予算申請して1993年にやっと建造が認められた経緯があります。はっけん号は、ドライラボ(コンピューター室)とウェットラボ(分析室)をそろえており、湖上での簡単な実験ができる構造になっています。双胴船なので、広い甲板と安定した船体によって、作業しやすいのが特徴です。また、1トンウィンチと200kgウィンチの両方を備えているので、自律型潜水ロボット淡探の昇降や、各種係留系の設置・撤去に利用できます。さらに、2周波計量魚探や600kHzの超音波ドップラー流向・流速計、F-Probeといった最先端の計測機器を備えており、建造後15年を経た現在でも、世界最高水準の調査船です。1993年には、琵琶湖国際共同観測(BITEX’93)で活躍し、また、2003年の琵琶湖ヨット転覆事件では、船体や遺体の早期捜索に大きな貢献をしました。

 自律型潜水ロボット「淡探」は、湖底環境および赤潮等のプランクトン調査を目的に、2000年3月に建造されました。地球温暖化の進行に伴って、湖底の低酸素化が懸念されていますが、湖底に生息する生物のリアルな写真を撮影し研究に役立てているほか、インターネットから「バーチャル琵琶湖」の形で、琵琶湖湖底の情報や写真を一般に提供し、好評を得ています(http://www.lberi.jp/)。2001年4月には淡水赤潮を形成する植物プランクトン(ウログレナ・アメリカーナ)の立体分布構造を世界で初めて画像化することに成功しました。また、2002年8月には、固有種であるアナンデール・ヨコエビの撮影に成功し、水深別の分布状況を計測しました。2003年から2004年には、水深70mの湖底からメタンガスの噴出を撮影することに成功しました。2005年から2007年にかけては、湖底泥の悪化に着目した調査を継続しており、特に、2007年の暖冬が湖底環境に及ぼす影響調査を行っています。すでに冬の季節風吹き出した12月3日現在でも、湖底の溶存酸素濃度は十分に回復せず、2mg/L以下の状態が続いています。水深104mという、簡単に近づけない湖底の環境の変化を、人間に代わって私たちに教えてくれる頼もしいロボットです。


滋賀県琵琶湖環境科学研究センター
研究情報統括員 熊谷道夫

追伸
さっそくに署名ご協力のメールが届きました。ありがとうございます。
その方によりますと、上記のJPEGでは打ち出しが粗くなるそうです。
お手数で恐縮ですが、署名に関するお問い合わせ、及び署名回収先である下記か、私宛連絡いただけましたら、ワードのファイルをお送りします。よろしくお願い申し上げます。

〒520-1611
滋賀県高島市今津町弘川83の1
淡探・はっけん号を守る世話人
代表 山内 陽子
電話 0740-20-1866
電子メール yamauchi1008@leto.eonet.ne.jp