とらば〜ゆ1年目

大学に移って1年、一通りを経験し、どうすれば自分の研究時間を確保できるかが見えてきました。
それで、一昨年「Stable Isotope Ecology」という本を出版した安定同位体研究の大先達の知人に、「1年前に東大に移りました。学生の指導やら会議やら入試対応やらで全然研究できませんでしたが、ようやく、2006年に調査した内容を論文にまとめる余裕がでてきました。あなたは教授しながら単独であんな本をまとめたんですね。ほんと、尊敬します。」とメールしました。即座に、彼には珍しく、長い文章のメールが返ってきました。
彼と初めて会ったのは、マサチューセッツという結構寒いところにある研究所に彼が勤めていた頃で、「英語が母国語でない研究者は、言葉のハンデを背負って頑張っている。科学の世界で英語を当然のように使っている自分が恥ずかしくなることがある。」と言われたのがすごく印象的でした。その頃既に、炭素・窒素安定同位体比研究では大御所の一人だった彼のそんなところが、すごいなあと思いました。
その後、彼は念願だった暖かいところにある大学に移り、二つ目の大学で教授になった頃に、単著で本を出版しました。「そのころ5年もののファンドが当たっていたから、丸二年、著述に当てることができた。学生達にも好評のようだ。You never know what is most important in this life...」
そして私のとらば〜ゆについて、
「I hope you find time to continue your many interests at the broader scales of ecology, and am pleased that the Japanese system recognized your outstanding abilities.」
と書いてくれました。
昨年逝去された西條八束先生始め、多くの方がこのように、大学に移ったことで今までにない何かができると期待してくれていることは、何よりの励みです。明日から大学教授2年目、気合い入れ直して頑張ろう!