アサザを植えると水質が悪化する

私の自宅は茨城県つくば市にあり、水道水の原水は霞ヶ浦で取られています。
ここではNPO法人国土交通省を動かして、アサザの植栽をしています。アサザが植えられてからもう何年になるのでしょう。水質は全然よくなっていません。実際、アサザが花を咲かせるころに、その群落周辺の水を取って水質を測って下さい。無機態窒素がゼロになっていろとは言いません。本来は硝酸であるべき無機態窒素が、アンモニア態として検出されます。湖沼の表層水の無機態窒素がアンモニアであるということは、アサザによって水がよどみ、酸素が枯渇してしまっていることを現します。窒素を吸収することもなく、水をよどませて日中の表層水にアンモニアまで検出させる。これがアサザがやっている害悪なのです。
アサザのような浮葉植物を植えると水質が悪化することは、自然科学ではとっくの昔に分かっていたことです。なのにこんなのを植えさせて「市民主導の公共事業は無駄がない」などとしているこのNPO法人は、いつか正式に税金の無駄遣いをさせたことを謝ってほしいと思いますし、子供達にビオトープ活動などで間違った科学知識を植え付けるのも即時やめてほしいです。
自然科学に係わるものとして一番許し難く思うのは、このNPO法人とともにアサザの植栽を推進させた生態学者です。この方には市民レベルでの混乱を正す責任があると思います。アサザを植えることは、希少種の保護にはなっても水質浄化機能はないことを、きちんと言明していただきたい。
アサザ植栽で水質が悪化することは陸水学会の大会でシンポジウムを開いて言明し、また水環境学会の学会誌でも指摘しています。しかし科学的にきちんと指摘しても、市民の間に広がってしまったデマを消す効果は皆無だったようです。このデマの動向を見るのに、私はときどきヤフーの検索で「アサザ 水質浄化」でのヒット件数を見ます。2007年9月8日、私が陸水学会でアサザ植栽の弊害を指摘した頃は2560件でした。それが今(2009年1月11日)では19700件。この事業をよいと勧めた生態学者の責任は重いと言わざるを得ないと思います。