研究したいなら修士から海外

今回の学会では、修士からアメリカの大学で学んでいて、博士号を取得して日本に戻ってきている方と、もう少しで学位がとれる方のお二人と知り合いになりました。たまたまお二人とも関西人で、学部は同じ大学の同期でした(ご本人達もここでそれを知ってビックリ)。
お二人とも修士から学費は払わず、生活費も研究室から出してもらっていたそうです。お一人の場合は翌年から額が倍になったということですが、お試し期間中の1年目も生活の保障はしてもらえるようです。
「だからアメリカの修士に行ったんです。日本だと修士もお金出さないとならないじゃないですか」
このように修士から丸抱えで面倒みてもらえるのは、自分の研究室の博士に進学してほしいからでは全然ありません。そういう場合もあるでしょうが、アメリカでは私が知っている限り大部分の人が、学部、修士、博士は別の大学に行きます。場合によっては専門も変えます。たとえば「Limnology: Lake and River Ecosystems」で有名な Robert G.Wetzel博士の指導教官であるGoldman博士は、学部は地質、修士を生物学、博士を陸水学&水産学で、それぞれ別の大学で取ったと話しておられました。
修士ともなれば生活費にわずらわされることなく、研究に専念できる環境であってしかるべきだと思います。日本の大学は学費も生活費も負担しなければならない上に、M1の秋・冬から就職活動しなきゃならないなんて、本当にばかげている。日本はその上、修士に進学するには受験者を一斉に集めた筆記試験を受けねばならないという、ばかげたしきたりがあります(まるで科挙の制度だ)。受験生だけでなく、教員もこのためにどれだけ時間を費やしていることか。
こういう状況を比べるだけでも、本当に研究やりたいのなら、修士からアメリカやヨーロッパの大学に行った方がはるかに賢明な選択だと思います。
ちなみに修士からアメリカでと思ったら、学部3年から手配する必要があるそうです。タイミング逃してしまって、博士は海外を前提に修士はとりあえずうちに来るというチャレンジ精神にあふれる方は、大いにWelcomeです。