1月17日記事でご紹介した大谷先生からご高著をいただきました。
全3章から成っていて、第1章ではアミノ酸がなぜどのような症状に効くと考えられるか、主に文献からの引用で解説されています。アミノ酸は体タンパク質として使われるだけでなく、ホルモンや生理活性物質、神経性伝達物質、免疫抗体、核酸の材料にもなっています。これらの用途に使われるアミノ酸は必要に応じていつでも供給できるように、他のどんなアミノ酸とも結合していない「アミノ酸プール」として存在しているのだそうです。通常はタンパク質の形でこれらのアミノ酸を摂取していますが、単体のアミノ酸で摂取する方が吸収が早く、また分解時に消化器官に負担をかけることが少ないとのことです。以上から、スポーツ選手や何らかの疾患を持っていることから、特定のアミノ酸を多めに摂取した方がよい場合にはアミノ酸として摂取することで効果が期待されると考えられます。
特定のアミノ酸の効果としては、以下が期待できるそうです。
分岐鎖アミノ酸(BCAA):中枢性疲労軽減作用
アルギニン:ホルモン分泌、血液循環促進作用
グルタミン:免疫力低下抑制作用
など
続く2章と3章は大谷先生による臨床試験の結果が紹介されていて、2章はスポーツ選手に対するアミノ酸摂取効果、3章は生活習慣病に対するアミノ酸摂取効果です。私はアスリートではないので特に3章に関心を持って読みました。たとえば、高血圧患者14名にアミノ酸とプラセボを与えた結果、アミノ酸グループで有意に血圧が低下していました。また脳血管障害でリハビリ中の患者13名にアミノ酸を投与、コントロールとして同時期に入院した16名で比較したところ、アミノ酸グループでは血液検査で貧血状態の改善がみられた。また問診では持久力がついた、元気が出たなどの回答に有意差があったと報告されています。
アミノ酸の中でもプロリンは結合組織の形成を促進すると書かれていて、脳脊髄液減少症の改善に直接的な効果が期待できないかと思っているのですが、付随しておこる疲れや免疫力の低下にも効果があるといいなと思います。
- 作者: 大谷勝
- 出版社/メーカー: 現代書林
- 発売日: 2003/04/16
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