日本陸水学会第74回大会初日

日本陸水学会が今日から大分大学で始まりました。
大気由来窒素降下物が渓流水質に与える影響(もしくは窒素飽和)に関する発表が、昨年と比べて一気に増えた気がします。今日13〜15時のポスターセッションで3件、午後の講演で6件。また窒素飽和と若干関係するポスター発表として、「森林施業に伴う撹乱の強度と空間配置が渓流水質に与える影響:PnETモデルを用いた検討」では、伐採において皆伐すると硝酸の流出を招くと報告していました。「新潟県における河川の長期的酸性化と季節変動」では、花崗岩が広がる下越地方で河川水pHの低下傾向が、石灰岩安山岩が広がる上越中越地域では上昇傾向が認められたそうです。花崗岩地域での低下は酸性雨の影響として理解できますが、他の地質で上昇するメカニズムが、よくわかりませんでした。
大気由来窒素降下物の話題以外に、今年もポスターセッションは興味深い発表揃いで、目星をつけておいた発表のうち4分の1は時間切れで見ることができませんでした。87題のポスターの内、面白そうなのが3分の1としても約30題。2時間のポスターセッション内で見ようとすると4分で1つと、演者とほとんど話せなくなってしまいます。来年はもう少し時間をとってほしいところです。以下、へ〜、と思ったポスター発表から。
矢作川における外来二枚貝カワヒバリガイの成長と餌資源の関係」では、カワヒバリガイた1年で約10mm成長し、4〜10月が成長期であること、また寿命は約2年であると論じていました。
「柴山潟における浮葉植物群落の分布とその要因」では、ソウギョによって壊滅状態にあった水草群落が、ソウギョの排除とともに復活したものの、その植物相はソウギョ放流以前に優占していた植物ではなく、それまでほとんど見られなかったアサザガガブタであったと報告していました。
「砂状の河床堆積物における脱窒」では、従来あまり脱窒が起こっていないと考えられていた砂状の河床堆積物でも脱窒が起こっていることを示していました。
ところで、陸水研M2のH君が、見事ポスター賞に選ばれました。おめでとう!