1月25日付記事で紹介した「化学物質による影響を総体的に把握し対策を講じる手法に関するセミナー」のアメリカから来られた講演者の方々との懇談会に参加しました。
この手法を極く簡単に要約すると、排水に生態系を攪乱する可能性がある物質があるかどうかを生物の反応で試験する、というものです。そのため、できるだけ感度がよく、かつ再現性がある生物という観点から、実験室実験の結果が報告されている生物リストから使用される生物が選ばれています。かつその生物の反応を年間にわたって確認できる必要があります。
アメリカの西海岸からハワイやグアムなどの島嶼部を含む地区では、ジャイアントケルプの成長・発芽が試験項目になっていました。こんなの、年間で使えるのは数ヶ月に限るんじゃないかとお昼休みの雑談で尋ねたら、いつでも発芽する方法を開発した上で採用されているそうです。他にもウニの幼生の受精と発達状態が試験項目になっていましたが、こちらは2種類を対象にすることで、年間いつでもテスト可能にしているそうです。こういった生物種を選びだし、テストに使えることを検証するまでに10年かかったそうです。
この試験は端的に言うと排水の毒性試験ですから、その排水が流れていく先の生物種である必要は全く無いという考え方です。いわばリトマス試験紙。ですので、グアムにある事業所の排水がカリフォルニアに送られて、ジャイアントケルプで試験する、という仕組みになっています。