議論のルールブック

A「携帯電話に集中してしまうと、周囲が見えなくなります。周囲が見えないから、そこに他人がいることをついつい忘れてしまって、マナーが悪くなるのです。それ以上どんな根拠が必要なのでしょう。」
B「そんな風に論理をつなげただけの意見を主張していいのなら、風が吹けば桶屋が儲かるというのも正しいことになっています。」
A「私の意見は、自分で正しいと思うから主張しているのです。風が吹けば桶屋が儲かるの論理は、言っている本人も正と思っていないでしょう。その違いです。」
B「自分で正しいと思うから正しいと主張するとは、だんだんインチキ科学者じみてきましたね。自分が間違っているかもしれないということを常に頭の隅においていないと、間違っていることと正しいと信じ込んでしまうことになります。」


上記A、Bのうち、議論というものが分かっていないのはどちらでしょう?


A「あの映画は最低だ。登場人物は揃いも揃ってバカばっかりだし、演技は学芸会レベル。主演目当てで、内容はデビルマンでもいいという人にしかお勧めできない。」
B「最低とかバカとかいうような、汚い言葉での誹謗中傷はよくありません。感情的な発言は議論の場では慎んでください。」


上記A、Bのうち、感情的なのはどちらでしょう?


このブログでもしばらくリンクを張っていた「議論のしかた」というウェブページがもとになって出版された本です。高校でアメリカに留学していた時Debateという教科を履修したのですが、これに当たるものを学生さん用にないか探していて、上記ウェブに行き当たりました。本も入手はしていたのですが、移動後のドタバタで3年過ぎて、ようやく読み終えることができました。一般的な議論について、また,特に科学的であること、客観的であることの意味など、論文を書く上でもヒントになる項目が多々あります。

議論のルールブック (新潮新書)

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