東大教授の問題発言

新聞報道によると、霞ヶ浦アサザ植栽事業について地元の科学者は「それは自然再生にはなり得ない」と反対しました。しかし某東大教授が科学的な常識に反する発言をするなどしてアサザ植栽事業を積極的に擁護した結果、国土交通省は34億円も投じてアサザ植栽事業を行うことを決めました。2002年10月2日付常陽新聞記事全文をご紹介します。「問題発言」の部分は赤の太字で示しました。これがなぜ問題なのかわかりにくい方は、このブログの8月6日付記事をご覧ください。
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アサザめぐり論議白熱 土浦 霞ヶ浦研究会がシンポ」「自然再生のあり方考える」

研究者らでつくる霞ヶ浦研究会(会長・黒田久雄茨城大学農学部助教授)主催のシンポジウム「霞ヶ浦の自然再生を考える−湖岸帯の植生と修復」が十九日、土浦市港町のサンレイク土浦で開かれ、霞ヶ浦にかかわる住民ら約二百人が参加した。同研究会はこの二年間、湖岸帯の植生の問題を集中的に論議しており、同シンポは問題解決の糸口を見い出そうとするものだが、アサザなど水生植物復元を目指した国の湖岸修復工事をめぐり、特に白熱した論議が繰り広げられた。
同研究会はこの問、さまざまな立場の専門家を招き、六回の例会で湖岸帯の植生について検討を重ねた。国土交通省の緊急対策事業はアサザなどの水生植物の復元を目指して事業費三十四億円を投じ、二○○一年度に霞ヶ浦・北浦の十一カ所で消波施設などを整備。同研究会は七月に現地調査も行っている。
 同シンポでは、湖岸修復工事の検討会委員も務めた鷲谷いづみ東大教授(保全生態学が「生物多様性保全と自然再生」のテーマで基調講演を行った後、霞ヶ浦総合開発モニタリング委員会委員長だった前田修・富士常葉大教授、渡辺欣三霞ヶ浦工事事務所調査課長、飯島博アサザ基金代表理事、沼沢篤霞ヶ浦市民協会主任研究員、春日清一元国立環境研究所研究員、宇田高明土木研究センター審議員の六人がそれぞれ意見を発表した。
 この中で、飯島氏は九五年に始まったアサザプロジェクトや流域の学校などのビオトープについて紹介しながら、同プロジェクトが流域管理を実現するため、百年計画で自然を取り戻す市民参加型の公共事業の試みであることなどを説明した。
 これに対して、沼沢氏は湖岸修復工事が十分な影響評価もなく行われた点を批判。工事が行われたのがワカサギの産卵場所さった可能性が高いとして「ワカサギの減少の方が問題ではないか」と指摘した。
 春日氏は、霞ヶ浦ではモなどの沈水植物が姿を消しており、最もやらなければならないのは沈水植物の復元であることを強調。アサザなどの浮葉植物と沈水植物は互いに両立することができないとし、湖岸修復工事を「非常に危険な事業」と批判した。これに対して飯島氏は湖岸修復事業について「行政側と決裂寸前まで議論した。事業者としてかかわった以上、責任を持たなければならない」と予算執行の制限の中で精一杯の対応だったと批判をかわしたほか、鷲谷氏も「浮葉植物で酸素不足になるのは誤解。空気を取り入れ根に送るシステムがある」とアサザを擁護した。これに対して再反論も行われるなど、白熱した論議が繰り広げられた。
 参加者からは「霞ヶ浦は昔からヨシとマコモとヤナギで、アサザはその間でそそと咲いていた。その点を理解して植えてほしい」「流域の子供たちはアサザを植えれば霞ヶ浦の水がきれいになると思っていて、戸惑うことがある。正しい知識を教えてほしい」といった意見が出された。
 このほか、国交省などが来年冬季から水位の変動幅を大きくする操作を開始する、と表明した問題などについても議論した。