河北潟に行きました。行政的にはCODが目標値まで下がらないのが最大の問題とのことですが、そもそもCODを水質改善の基準とすることや、生物生産が盛んな下流域の湖沼で有機物濃度を下げることが目標としてふさわしのかは、検討を要するところです。
それ以外には一体何が問題なのか。地元で河北潟を研究している方によると、塩分が入らないよう水門が操作され、湖水面は常に海水面より40cm高いそうです。これにより淡水流入河川も湖近くでよどむようになり、湖全体としても「ため池化」しているのが問題ということでした。
河北潟はかつて汽水だったのを淡水化したので、このような水位操作をしているわけです。霞ヶ浦と違って飲用水には使われず農業用水だけなので、現在のため池的水質でも深刻な被害はないようです。漁業もほとんど行われていない為に漁業被害もなく、アオコも発生していません。
その研究者の方は「新しい再生」という言葉を使われます。河北潟は非常に広い面積が戦後に干拓され、また汽水だったのが淡水になったということで、かつての状態に「再生」できないことは明らかです。だから「新しい」再生になるわけですが、かつてない環境を作っていくわけですから、お手本もありません。何が起こるか分かりませんから、慎重な検討が必要となります。
いろいろ難しいことがあると思いますが、ゴミの不法投棄が増えないよう湖岸はどこも清掃が行き届き、外来の水生植物の駆除、湖岸に繁茂するセイタカアワダチソウの抜き取りなど地道な努力が続けられているこの河北潟では、きっと新しい再生の道が見えてくるだろうと思いました。
河北潟の光景です。沖合に消波堤、水際には樹木が並ぶという霞ヶ浦の不自然な「自然再生」湖岸に比べると、見ていてはるかに落ち着きます。