偏差値29からの東大合格

陸水研でやっていくには、どういう勉強をしておくとよいですか」と、進学志望者からよく尋ねられます。陸水学は総合科学ですが、地学・化学・生物・物理と数学の、高校の参考書程度の知識が身についていれば大丈夫です。進学してからは、それぞれのテーマに合わせた教科書をまず読んで、高校の参考書で得た知識で説明できるまで理解するところから始まります、と答えます。
ここでまた尋ねられるのが、「自分は高校で○○取っていなかったのですが、どうすればよいでしょうか」
実は私は日本の高校を2年で中退したので、高校で学ぶ全科目について、最後まで習ったものはひとつもありません。高2の夏からアメリカの高3に編入して、あっちの卒業証書もらって、6月に日本の高2に戻りました。かつての同級生は高3。ひたすら受験勉強の彼らを見て「来年はあ〜なるのかぁ」とうんざりしていたところ、アメリカの卒業証書でも初めて導入される共通一次試験を受験できることが分かり、模試のつもりで受けることにしました。一期校・二期校の区別がなくなったので、国立を受けるなら一発勝負。農学部に行って品種改良の仕事について、国際的な食糧不足問題の解決に貢献したいと考え、自宅から通える京大農学部に問い合わせたら「うちは日本の高校をでていない方は受験できません」。いろいろ調べて、アメリカの卒業証書で受験できる国立大は、当時はお茶の水女子大と東大だけでした。女子大はいやだったので、東大しかない。数IIまでしかやっていないので、数学2問解ける自信が無く、東大は文系から理系にも進めるとどっかに書いてあったので、とりあえず東大の文IIIに入り、国際関係論に進んでFAOにでも就職しようと東大を受けることにしました(結局、私は文系は合わないと悟り、理学部に進学しました)。
受験を決めたのは確か10月くらいで、共通一次試験(今で言うセンター試験)がどういうものか、過去問も無い状態でした。高2にいて部活が忙しかったし、生徒会関係の仕事もあったので、予備校に行くという考えは全くありませんでした。独学の手始めにやったのは、東大の試験問題を分析すること。やたら記述が多くて、途中まででも考え方が書けていればいいんだと気づき、全教科について適当な参考書を1冊、問題集を1冊づつ買って来て、全部解けるまで5回くらい繰り返しました。それでも解けなかった問題は解き方を暗記。12月に初めて受けた東大オープンではE判定共通一次は確か半分もできてなかったと思いますが、その年は足きりがなかったので無事二次試験に進み、不安だった数学も結果的には2問は正解、1問もいいところまで書いていたので足を引っ張られることもなく、現役(?)合格しました。
表記の本の著者は、高3の9月に受けた数学の偏差値が29、高校で受験に必要な科目を選択しておらず、独学の末、一浪で理科二類に合格。私と状況がかなり似ているので、私も本を書いたら売れてたかも。。。と思いました。彼女の勉強法も私とすごく似ているので、高校で学ぶ内容を東大に受かる程度まで独学で理解するには、この方法がやっぱり効率的なのかなと思います。私の場合は高2として普通に授業を受けて、部活して生徒会活動して、帰宅してから受験勉強だったので、できたのはせいぜい1日3〜4時間。それを10月から2月までの5ヶ月で全科目クリアできました。数学の偏差値29の著者やセンター試験半分できたかどうかだった私でも東大に受かってますので、大抵の学生さんには、学部の勉強と平行してできることだと思います。著者も書いていますが、能力の問題というよりは、勉強方法の問題だと思います。

偏差値29からの東大合格

偏差値29からの東大合格