スイスで安楽死規制強化案が大差で否決

日本尊厳死協会会報142号に、スイスのチューリッヒ州で安楽死に規制を求める提案が大差(反対80%前後)で否決されたとの情報がありました。
スイスでは2001年に、利己的動機でなければ自殺幇助が許されるとの法解釈が成立し、病苦から自殺を求める患者を援助する団体により、年間約400人が命を絶っているそうです。援助団体の1つはチューリッヒ州に本部を置き、外国人も積極的に受け入れていることから、自殺した人の3割は外国人(イギリス、ドイツが多い)。これが「自殺ツアー」と呼ばれ、スイスの評判を落としているとして、連邦政府も規制案を提出していたそうです。
援助団体のひとつは今回の規制否決について、「死ぬ権利は個人の問題であり、国や協会でさえ口出しはできない。投票結果は、他者に救いの手を差しのべるスイス人の人道的伝統をはっきり表した」とコメントしたそうです。
安楽死に対する姿勢は、命の尊厳をどう考えるかだけでなく、弱い立場にいる人の心情にどこまで寄り添えるかによっても違ってくるように感じました。