昨日、学芸大で水環境に関する講義をしました。日本の平野部の湖沼では、除草剤が原因で沈水植物が消滅した可能性が高いこと、その影響が減少した水域ではCODなどの水質が改善されないのに沈水植物が復活していることなどを例に、目に見えない化学物質が水環境にいかに悪影響を及ぼしているかを解説しました。
講義後、「将来は悲観的ですね」との感想に、「そうは思いません」と即答しました。
私が10歳から20歳を過ごした1970〜80年代、日本は公害列島と言われていました。農薬で死んだ魚の白い腹で、水田が真っ白になっていたことがありました。光化学スモッグが頻発し、生駒山から見下ろす大阪はうす黒いガスに覆われていました。何とかせねばとの様々な努力のもと、日本の環境は、あの頃と比べたら見違えるようによくなったと私は思います。
もっと良くなるようにできることがあると思うから、問題を紹介する講義内容になっています。でもそれは悲観しているからではなく、この国は希望に満ちていると思っているからです。
3.11では多くの人命が失われ、放射能汚染が続いています。でも少しでも良い方向にとの様々な努力が必ず実を結ぶと信じています。
公害列島と言われた頃の日本については、例えば「東京都の公害風景」 http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/kouhou/fuukei/top.html
に写真が掲載されています。かつてはこれが日常だったとは、若い世代には信じられないかもしれませんね。