宍道湖のヤマトシジミ漁獲量が、最盛期の3分の1にまで激減しています。私はその主な原因は塩分の低さだと考えています。シジミにとっても低めであるのがストレスになりますし、また塩分が低いとシジミの身にならないラン藻類が繁茂しやすくなります。
本日、宍道湖漁協の方からうかがったお話です。シジミ資源保護を目的設置している稚貝の付着板に、資源量激減以前は、海産のホトトギスガイが激減後より多く混ざっていたそうです。私の仮説と整合的です。
宍道湖には大橋川という、高塩分水が逆流してくる川がつながっていて、その幅を拡張する計画が進んでいます。幅を広げるとお隣の中海からホトトギスガイという二枚貝が侵入しやすくなります。この貝はマットを造って湖底を覆うのでシジミにとってマイナスになると考えていましたが、昨今の宍道湖の状況を見て、考えを改めました。
宍道湖は多少ホトトギスガイが入ってくる程度くらいまで塩分が高い方がシジミの生息環境という点では望ましいと思います。それは同時に、時には赤潮を発生させる塩分でもあります(20年前の宍道湖がそうでした)。
多少ホトトギスガイが入ろうが、沈水植物が復活しようが、シジミが豊富にとれて漁師さんがシジミかきをしていれば、自然に除去されるでしょう。何もしないでアオコが優占する湖になると、シジミはジリ貧になるかもしれません。
合意形成が必要です。何もしなければアオコが発生する。何かすれば(塩分を高める人為操作をすれば)赤潮やホトトギスが侵入する。何もしないことの無責任を問うことはできなくても、何かしたことの批判はできる。だから何もしないことを選ぶ雰囲気になるのかどうか、かもしれません。