平成23年度の成果

この1年、まだ残る交通事故の後遺症のおかげで作業が滞ることが多かったのですが、多くの方々のご協力のおかげで、ぱっと思いついただけでも下記の成果を出すことができました。本当にありがとうございました。
平成24年度は、まず頸椎椎間板症を何とかして、体調を気にせず仕事できるようにしたいです。

沿岸環境
・世界学術会議との連携を図るため、日本学術会議にLOICZ小委員会設置を申請し、認められました。私は委員長を務めます。海外の研究者との連携や日本初の情報発信を目指します。
・世界のメガシティは沿岸域に立地し、メガシティと海域との相互作用はLOICZの重点課題の一つです。ロンドンで開催されたPlanet Under Pressure会議では、世界最大のメガシティである首都圏の課題を、電力と水供給の視点から紹介しました。
・メガシティの物質循環は人為によるものが大きく、そのモデル化は世界の他のメガシティの将来予測に応用できることが期待されます。そのような観点から新たな学術領域としてメガシティ学を展開する必要性を訴えました。
・従来、富栄養化によって衰退されたと考えられてきた日本の平野部湖沼や内湾の沈水植物が、全国ほぼ同時期に、除草剤使用によって衰退したことを説明した論文が、国際誌に受理されました。土木工事や富栄養化を沈水植物衰退の原因としている自然再生事業は、見直しが必要になると思います。
・フィリピンのジュゴンが生息する海域の環境保全に関するプロジェクトを立ち上げました。海草藻場の3Dマッピング、音響によるジュゴンのモニタリングなどの先端技術の導入とともに、地元の小中学校の先生方にパックテストを広めて、住民の方が知りたい水質を自力でモニタリングできる体制作りを目指します。

湖沼
・「指定湖沼が直面する諸問題〜湖はどうあるべきか」と題したシンポジウムを陸水学会大会で開催し、湖沼水質基準の在り方について議論しました。
環境省汽水湖調査検討会の座長を務めました。汽水湖沼の課題はかなり見えてきたと思います。来年度は、ではどうするかのオプションの提示と、それによってどうなるかを住民の方が見えるような仕組み作りです。目指すはシムラグーン。
・水資源環境に関して現象解明と技術開発を同時に行い、行政との連携や省庁にまたがるデータの集積と分析、それらを通じた社会人教育も含む教育を行う研究所設立を目指し、新領域創成科学研究科に「水資源環境技術研究センター」を設立するよう提案しました。

宍道湖
・自然再生事業としてヨシが植栽されていますが、本当にそれが自然再生なのか、言われているようにヤマトシジミの増産に貢献しているのか、検討を始めました。少なくとも、護岸工事が行われる以前の1947年に、湖内にはヨシ原は一切ありませんでした。
・除草剤が使用される1950年代半ば以前の沈水植物相を種子分析によって復元しました。某絶滅危惧種が最も繁茂していたことが分かりました。重要な発見なので、来年度は別の手法を使っての裏トリを試みます。
シジミ倍増ワーキングが立ち上がりました。私は座長を務めます。目指すは漁獲量1万トン!

手賀沼
・湖沼法に基づく第六期計画の議論を通じて、水質目標になっていない生態系の評価とその再生法を検討する場が必要であることを主張しました。これについては、ワーキングを設置することになりました。

霞ヶ浦
・どうしようもない人間とはいるものなんだと、性善説を信じたい私にとっては残念なことの改善が中心になっています。これだけじゃつまんないので、地元の方々と行政、科学者が連携して、「楽しい霞ヶ浦」を目指して活動できる仕組みを検討しています。