学校によるいじめの隠蔽

ジェントルハートプロジェクトは、いじめのない社会の実現を目指して活動しているNPO法人です。会員には季刊で「ジェントルハート通信」が届けられます。その34号に、「第6回親の知る権利を求めるシンポジウム」での、いじめ・恐喝事件被害者の報告が掲載されていました。発行者の許可を得て、一部を抜粋しました。
末尾にもありますように、お子様が生きていたからこそ、実態をある程度解明することができました。しかし、お子様が自殺されてしまった場合、学校側によって真実が歪曲され、被害者の落ち度にされてしまう可能性が非常に高いことが、この報告から分かります。
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当時小学5年だった息子は、2005年春頃より1年あまりにわたって、言葉による精神的な嫌がらせや肉体的暴力などのいじめに遭ったうえ、56万円余の恐喝被害を受けました。しかし、学校と市教委は2006年2月のいじめ発覚後、事件が表ざたになるのを嫌い、次の不当行為を行ないました。
被害者両親には「いじめ・恐喝を認める」発言を行ないながら、その一方で、加害者側には「いじめ・恐喝はなく、カネは配られたものである」と二枚舌を使っていました。さらに、いじめ・恐喝を把握しているにもかかわらず、公式には確認できないとし、転校妨害や風評被害の黙殺などを行ないました。また、市教委は「被害者の当人から聞き取りができなかった」などと事実無根の捏造理由を列挙し、いじめは確認できないと、裁判所に虚偽の報告書を提出しました。
学校のこのような隠蔽行為の結果、あたかも息子が家の金を持ち出したような風評が地域に広まりました。息子は精神にショックをうけたうえ、転校を余儀なくされました。さらに、市教委の裁判所への捏造書類や担任の虚偽発言のため、裁判での負担が増大したのです。
加害者側との訴訟については、2009年12月にほぼ全面勝訴といえる判決で、いじめ・恐喝が認められました。しかも裁判所は、校長や担任教諭が当初からいじめを認識していたことを明確に判決文で認定しています。さらに、被告側が提出した証拠から、上述の不当行為が事実であったことも判明したのです。
隠蔽するのであれば、被害者側にもいじめを認めなければよいのではないか。これは誰もが思うことでしょう。
私どものケースでは、被害者を泣き寝入りさせようと卑劣な手段を取ってきました。被害児童に対しては、担任と生徒指導係の教諭が、個室に閉じ込め、1時間以上も「いじめられる方にも責任がある」などと延々説教をして、黙っているように圧力をかけました。このような行為は、「指導死」を招く恐れがあり、絶対に許されることではありません。
さらに母親に対して、校長は「いじめられたことを表ざたにすると、この子はいじめられた子だからと、中学・高校に行っても、またいじめに遭いますよ。」「妹さんまでもが、あの子のお兄ちゃんはいじめに遭ったと言われて、いじめに遭いますよ」などと脅しをかけてきました。一方、父親の私には、このようなことは一言も言わず、いじめを認め同情しているかのように見せかけました。このように学校は、弱いところを徹底的に攻め、泣き寝入りさせようとしていたのです。
(中略)
私どもの子どもは幸いにして生きています。だから、事件発覚直後の学校の調査情報を得ることができました。「教師の説明は矛盾が多い。何かおかしいのではないか」と疑問を持ち、それ以降の話し合いを全て録音したことが、裁判では功を奏しました。
でも、お子様を亡くされたご家族にとっては、それどこではないと思います。直後のこの時期は一番辛い時なのですから、情報収集どころではありません。
一体どうすればよいのでしょうか。