農薬変化体の塩素処理副生成物

「農薬は、環境中に積極的に散布された後に降雨などにより環境水中に流入し、環境水中で様々な反応を受けて農薬変化体(Pesticide Transformation Products in Water environments: PTPWs)を生成する。その後、浄水場で取水され塩素処理を受けて、農薬およびPTPWsの塩素処理副生成物を生成する可能性がある。
農薬は、農薬取締法において、登録時に変異原性を評価することが定められているが、農薬およびPTPWsの塩素処理副生成物の安全性は評価されていない。河川水から農薬やPTPWsが検出されること、農薬を塩素処理することで変異原性が上昇する場合があることから、PTPWsを塩素処理することで変異原性が上昇する場合があるか否かを検討する必要がある。」(要旨3-A-10-2)
昨日の水環境学会では、上記目的の研究プロジェクトから4題の講演がありました。
環境水でのPTPWsは、元の農薬の250倍の濃度で存在しているという報告もありました。人間への直接的な影響とともに、生態系への影響も、元の農薬以上にあるかもしれません。今後の展開に注目したいと思います。
なお演者らの論文「水環境中で生成する農薬変化体の文献研究」は下記からダウンロードできます。
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jswe/-char/ja/