宍道湖・中海本

「貧酸素水塊」、カバーの図案もめでたく決まり、今月には出版されます。
次に取り組んでいるのが宍道湖・中海に関する本。環境省汽水湖関係のワーキングで、コンサルさんが作ってくる案は、査読論文ではなくネットでダウンロードできる和文の報告書や本から引用しているものが大部分で、その全てが必ずしも適切な内容ではなかったりします。本や報告書は査読システムがないから仕方ないのですが、現実に査読論文ではなく報告書や本などの知見が現場で使われているのであれば、論文にして終わりではなく、本やネットでアクセスできる報告書にも書くようにせねばならないと思うようになりました。
宍道湖ではシジミが増えると称して水際にヨシ帯を造成したり、中海では元の環境に戻ると称して干拓堤防を開削したりという、一部研究者による科学的に「?」な説がまかり通ってしまって、環境が悪化する情けない事態になっています。これについては論文で批判して、もうこういう間違いが起こらないよう科学的な検討を十分行うよう呼びかけているところですが、本にしないと一般の方にはなかなか伝わらない。それで次の書籍執筆は、宍道湖・中海本なのです。その次が汽水湖に関する報告書。それができる頃には、新たな課題がまた出てくるのでしょう。