子供の脳脊髄液減少症

山王病院の高橋先生がブログで「外傷により発症した学童期脳脊髄液減少症 −32例における臨床検討― 」(小児の脳神経 Vol. 38 No. 1 February 2013)を公開されています。
お子様の外傷性脳脊髄液減少症は、早期に安静、点滴などの保存的治療で治癒する事が少なくありません。しかし、脳脊髄液減少症と分からずに放置すると治りにくくなるだけでなく、怠けていると誤解されるなど、精神的にも大変な状態に陥ります。
この病気は尻餅をついただけでもなる場合があり、活発に動き回る子供達がかかりやすい病気とも言えます。特に学校関係の方には、脳脊髄液減少症の病態を知っていただきたいと思い、高橋先生の許可を得て全文をご紹介します。

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「外傷により発症した学童期脳脊髄液減少症 −32例における臨床検討― 」
高橋浩一(山王病院脳神経外科
【目的】学童期に外傷が原因で発症した脳脊髄液減少症について検討し、治療法、臨床像など考察した。
【対象と方法】対象は、15歳以下に脳脊髄液減少症を発症し、発症から5年以内にブラッドパッチを施行した87例中、明らかな外傷がきっかけで30日以内に症状が出現し、外傷が原因と考えられた32例(男性15例、女性17例、平均年齢12.8歳)である。
【結果】原因としては交通事故が12例 (37.5%)、部活動や体育の授業など、学校内での受傷が12例(37.5%)であった。受傷部位は、頭部、頚部、背部または腰部打撲がほとんどで、受傷から症状発現までの時間は、受傷直後から30日 (平均5.6日) であった。治療は、保存的加療が効果的でない場合にブラッドパッチを施行した(平均治療回数1.6回)。予後は改善が27例 (84.4%)、部分改善が5例 (15.6%) と、全例に何らかの効果を認めた。学童期発症の非外傷性脳脊髄液減少症同様、良好な治療予後であった。
【考案】外傷性脳脊髄液減少症の特徴は、何らかの外傷後に起立性頭痛や、めまい倦怠感などが出現し持続するが、通常、頭部MRIなどの諸検査にて異常を認めない。経過、症状から脳脊髄液減少症が疑われた症例では、確定診断に至らなくても、特に発症早期には安静、点滴などの保存的治療で治癒する事が少なくない。また、保存的治療での効果が乏しい症例に対しては、ブラッドパッチが有効である。しかし、脳脊髄液減少症の認知度が低いため、外傷性頚部症候群や精神疾患など、他の疾病と判断され、経過観察されている症例が稀でない。
【結論】外傷により発症した学童期脳脊髄液減少症は、発症早期には保存的治療での効果が高い。それからブラッドパッチも有効な治療法である。何らかの外傷後に起立性頭痛などが出現し、持続した場合には、脳脊髄液減少症を念頭に入れ、早期の対応が重要である。

(追伸)
最近、脳脊髄液減少症の方からアミノ酸について問い合わせがありました。私自身はアミノバイタル以外に東大から出している「体力」も使っています。成分や量が極端に違わなければ、アミノバイタルにこだわらなくても大丈夫だと思います。摂取のタイミングですが、1日2回で、もし定期低に散歩など運動されているのでしたら、1回は運動前に飲むとよいと思います。