昨日は久しぶりに、露頭の観察に行きました。場所は霞ヶ浦(西浦)と北浦に挟まれた行方台地。古東京湾に流れ込むチャネルの堆積物とされています。このあたりの古地形で論文を出されているIさんの解説によると、おそらくチャネルが蛇行していたので、異なる流向を示す堆積構造が重なっているとのことでした。
霞ヶ浦周辺は昔は海だったので、かつては海底の異地性二枚貝の殻が集積していたところが離水した露頭とか、かつての牡蠣礁とかが一般道の道沿いにあります。子供達が小さかった頃は「潮干狩り」と称して連れ出し、貝殻を拾って喜んでいる間に観察していたものでした。
現在の海に潜っても見えるのは表面だけですし、コアを採るとしても人力ではせいぜい数10cm。その点、露頭は堆積物の断面が数m以上、うまくすると10m以上観察できるので、本当にわくわくします。
ただ、私が学生だった30年前は至る所に新しい道路が造られていた頃で露頭に事欠かなかったのですが、今は新規の道路造成も減り、かつての露頭は植物に覆われて、露頭観察にとって冬の時代だそうです。この露頭にしても「いつまでも、あると思うな、いい露頭」と、心して観察するように、とのことでした。
確かに、子供達と「潮干狩り」した異地性二枚貝集積露頭は、今では草に覆われて全く見えなくなっていました。地質調査所の有志の方が保存を呼びかけていたこともありましたが、今でこそジオパークなど地質遺産にも関心がもたれつつあるとは言え、地学離れ著しい日本ではなかなかその貴重性が理解されないようです。