古老が語る「霞ヶ浦にアサザなんて無かった!」

昨日は霞ヶ浦環境科学センターで、水質が悪化する以前の霞ヶ浦を知っている地元の方のお話を聞く会に参加しました。お話をしてくださったのは、行方市小高地区と沖州地区の方々です。
2時間半に渡って熱心にお話頂いただき、初めて聞くこともたくさんありました。例えば霞ヶ浦にはヒシは昔から生えていたそうですが、実を食べる習慣はなかったようです。また沈水植物が衰退する以前は「寒藻」と呼んでいた、10月くらいから生えて6月頃に実がなる種類があったそうです。
ヨシは減っているということで、両地区の方とも一致していました。しかし霞ヶ浦で行われているヨシ植栽事業については、「沖からはできねえ。岸から出てくるのが自然のヨシだ。」と批判していました。霞ヶ浦でも宍道湖同様、ヨシは波が当たらない岸に生えていて、そこから延びていったものが沖(水際)にある、という感じだったそうです。
面白かったのはアサザに対する評価。「アサザなんてのは、行政がやってるだけだ。」「昔はあんなのなかった。」「アサザなんかの下に魚はいねぇ。」と散々でした。
水草が水質をよくするとの考えをどう思うか聞いたところ、「水質がよければ水草があるというだけで、水草が水質をよくすることはないと思う。」「水草が枯れたのが腐ったら水質は悪くなる。」と、やはり昔から湖を関わって来た方々は、現場を見ない保全生態学者よりはるかに科学的に、水質浄化とはどういうことかを理解されていました。自然再生事業においては、保全生態学者は特定のNPOの意見に盲従するのではなく、昔から住んでいる方々から広く、かつての状況や今後どうあるべきかについて、見解を聞き取るべきでしょう。そうしていれば霞ヶ浦でのアサザ植栽や、宍道湖でのヨシ植栽などの自然破壊事業はご破算になっていたはずです。
写真は沖州地区の方が見せて下さった、霞ヶ浦産淡水真珠です。右側のが1年物だそうです。二枚貝がたくさんいた頃の霞ヶ浦では、二枚貝の養殖も行われていたのです。昔はシジミ以外にも多くの淡水の貝が漁獲対象として採られていた霞ヶ浦。自然再生の目標はヨシ原ではなく、ましてやアサザでは絶対になく、まずは二枚貝だと思います。

☆今回のお話は音声とビデオで記録しています。貴重な証言なので多くの方に知ってもらいたいと思うのですが、何かアイディアがあったら教えて下さい。NHKとかが取り上げてくれないかなぁ。。。