水環境に関する本郷の講義では、「水からの伝言」「EM菌による水質浄化」「アサザ植栽による自然再生」などいくつかのトピックからひとつ選んで、その科学的根拠とされていることをまとめ、自身の見解をレポートしてもらっています。
今年度も同様の課題を出そうとして久しぶりに「アサザ基金」でネット検索したら、文部科学省のサイトが上位に出てきました。
http://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/npo/npo-vol4/1316882.htm
入ってみると、
「教育 > 地域の教育力の向上 > 民間教育事業の振興 > 教育関係NPO法人の活動事例集 > Vol 4‐2 環境教育 > 特定非営利活動法人 アサザ基金」となっていました。アサザ基金が環境教育?自然再生に関して非科学的なデタラメしか主張していない(しかもまだそれを引っ込めていない)団体が?
この団体は義務教育の副読本にまでデタラメな情報を流し、明らかな誤りだったために今年度版は修正されたという過去があります。
http://d.hatena.ne.jp/Limnology/20130522
http://d.hatena.ne.jp/Limnology/20120401
どうしてこんな詐欺団体が文科省のサイトで紹介されるのか、全く理解に苦しみます。霞ヶ浦や宍道湖は、この団体が提唱した「粗朶消波堤」がなければ、現在ほど環境が悪化しなかったでしょう。アサザを植えたために貴重な固有種が消えた例もあります。
おかげ様で宍道湖では、消波施設を作って水草を植えることが自然再生ではないことが住民にも理解されるようになりました。しかし他の地域ではまだまだのようです。
文科省には速やかにこのような記載を削除し、正しい環境教育の普及を目指してほしいと思います。
(追伸)
私は「アサザ基金は日本の科学リテラシーのレベルを問うている」と考えていますが、その最たるものは「アサザプロジェクトの100年計画」です。
http://www.asaza.jp/about/plan/
この図を見ればアサザ基金が自然再生どころか自然を改悪することしかできないことは明らかなのです。湖だったところが森や林になれば、コウノトリやトキが来るようになる?ではなぜ、日本の多くの森や林にトキはいないのでしょう。たとえコウノトリやトキが来たとしても、湖だったところを森や林にすることが、霞ヶ浦という湖の自然を再生することになるのでしょうか。こんな絵合わせを無批判に信じるような子供達が増えてしまえば、科学技術立国日本はあり得ないでしょう。