アサザは除草剤で駆除するしかない大変な侵略的外来種

「海外ではアサザで困っているというのに、どうして日本人はアサザ教信者が多いのだろう。。」とぼやきつつ、アサザ植栽が水環境に与える悪影響について論文を書いています(もちろん国内誌です。海外でアサザ植栽が自然再生とか水質浄化とか言ったら、常識を疑われますから)。
議論をサポートする国際誌を検索していたら、こんな論文がありました。
Water level fluctuations for managing excessive plant biomass in shallow lakes
Ecological Engineering 37 (2011) 241–247

アサザ属3種(Nymphaea alba, Nuphar lutea and Nymphoides peltata)の繁茂を水位操作によって抑制できるか実験したところ、Nymphaea albaとNuphar luteaは春期の水位を少し上げることで抑制できたが、Nymphoides peltataは抑制できなかった、という内容でした。
Nymphoides peltataとは、日本で「アサザ」と呼ばれている植物です。霞ヶ浦では水位操作によって減ったと某NPOが主張しているのですが、彼らが植栽したのではない自然群落は全く減っていないことから、日本の科学者で水位操作によって霞ヶ浦アサザが減ったと考えている研究者はいません(もしいたら、その方は勘違いしているのか、よほどリテラシーが無いのでしょう)。

この論文は霞ヶ浦のみならず、ヨーロッパでもアサザは今回比べた3種の中で最も水位操作に強いことを示していておもしろかったです。屋上のアサザは冬も水位が1mくらいある状態で育てていますが、しっかり実生から芽生えていました。

このブログで何度も紹介しているように、アサザは適した環境だと爆発的に増えて、他の植物を駆逐するだけでなく、魚や貝が住めなくなります。日本でも大阪府の都市河川や佐賀県のクリークなどでは、アサザが異常増殖しています。
実際、アサザは海外では侵略的外来種として警戒されています。たとえばGlobal Invasive Species Database(世界の侵略的外来種データベース)でアサザを検索すると、下記の記載がでてきます。
It can become extremely invasive in shallow, slow-moving swamps, rivers, lakes and ponds. Currently there is little information available on the control of Nymphoides peltata but hand removal for small infestations and herbicides for larger infestations seem to be the most effective. (アサザは浅くて水の動きがない湿地、河川、湖沼、池で極度の侵略性を発揮する。アサザの制御手法に関する有効な情報はないが、小規模な群落であれば手作業での除去、慢性的に広範囲に繁茂している群落には除草剤使用が有効だろう)

曖昧な根拠で現在無いところにアサザを植えるのは、極力避けた方がよいと思います。