U君の修論、水草から溶存有機物が出てくるなんて当たり前のことだから国際誌は無理だろうと思っていたら、そうでもありませんでした。アサザやヨシも含めて水草からでてくる溶存有機物の影響を議論した論文は結構あるのですが、U君のように100日も実験続けて難分解性有機物になっている可能性を指摘したものは、今のところ皆無です。せいぜい40〜60日。
ということでU君のも国際誌に出せそうですが、日本語で出さないと読んでほしい方々が読まない可能性が高いので、やはり国内誌に投稿しましょう。在学中に図の書き直しお願いすると思います。
因みに、欧米では植物プランクトンだけでなく水草も有機汚濁負荷になることは当然のことなので、例えば水草から出てくる溶存有機物を蛍光を使って分析した論文(Aquatic Science 71 (2009) 15-24)の最後はこんな文章で終わっています。
Along with increasing eutrophication of inland waters, the impact of macrophytes as a major carbon source for microbes is likely to increase in years to come as their abundance and distributions grow.
(陸水域で富栄養化が進行すると、水草の量や繁茂面積が増加して、その炭素供給が微生物に与える影響も増加するだろう。)
追伸
難分解性有機物の増加、全ての湖沼で起こっているわけではないようです。一方で顕著に起こっているのが霞ヶ浦、琵琶湖、宍道湖。いずれも砂浜湖岸が広がっていた湖ですが、「護岸工事によってヨシ帯がなくなった」とのデマによって、ヨシが植栽されている湖沼です。これって偶然でしょうか?